マネーフォワード クラウド人事管理が実現するHRのDX化と描く未来
左:山田 一也(やまだ かずや)
株式会社マネーフォワード 執行役員
Money Forward Business Company CSO
中:福原 岳史(ふくはら たけし)
株式会社マネーフォワード
Money Forward Business Company カンパニー執行役員
HRソリューション本部 本部長
右:増山 大輔(ますやま だいすけ)
株式会社マネーフォワード
Money Forward Business Company
HRソリューション本部 副本部長
マネーフォワード クラウド人事管理がソフト間のデータ共有を効率化する
山田:まずは、直近リリースされた「マネーフォワード クラウド人事管理」が、僕らが提供してゆく「HRソリューション」のベースとなり、どういうユーザーの課題を解決していくプロダクトなのか、簡単に紹介して行けたらと思います。
増山:「マネーフォワード クラウド人事管理」をそもそも作ろうと思ったきっかけは、HR領域にいろいろなSaaSが生まれ、それぞれの課題を解決するという点ではすごく便利になった一方で、ソフト間で情報を伝播させていくところはまだ出来ておらず、未だに担当者が手動で転記しているような状態を解決していきたいと思ったことです。
「マネーフォワード クラウド人事管理」は、そういったソフト間のデータのやりとりを効率化していくビジョンを描きながら作ったプロダクトになります。
山田:マネーフォワードも、組織図はまだスプレッドシートやPDFファイルで作ってますし、まさにこのあたりのDX化は実現していきたいところです。
あと、入退社周りの業務に関しても、煩雑な手続きをされている会社が多いのではないかと思うのですが、そのあたりの課題をこのプロダクトで解決していこうとしていますよね。
増山:そうですね。「マネーフォワード クラウド人事管理」は従業員からインターネットで直接情報を集めることができるワークフローシステムを備えているので、そこで集めた入退社情報を各プロダクトごとに伝播させて反映していくことができるようになります。
なので、今までだと担当者間で口頭やSlackで情報をシェアしていた部分について、ソフト上で完結するような世界を実現できると考えています。
山田:特に去年からコロナの影響で、出社が難しい労務担当の方とかも増えているのかなと思うのですが、その辺りのユーザーのニーズみたいなところって、日々セールスの方とかがお話を聞く中で、どんな感じで聞こえてきていますか?
福原:コロナ前は気付いた人からの問合せ中心っていう世界だったなと思っていて、それがリモートが必須になり、「やらなきゃいけない」という状況に変わった感があります。
マネーフォワードはずっと、給与計算とか勤怠とか部分最適のプロダクトを提供していたのですが、この人事管理の登場によって人事労務領域全体のDX化に一歩踏み出すことができました。
山田:ユーザーのニーズも、部分的なところからトータルでHRをDX化していきたいというニーズが高まってきているということですね。
山田:HRのトータルソリューションとして、今後の展開についてどう考えていますか?
増山:マネーフォワード クラウドのサービス群を使っていただくことで、マネーフォワードの製品の中にどんどんデータが溜まっていくので、それを使ってさらに次の改善に一歩踏み込めるような、そんなところまでいけるんじゃないかなって考えています。
福原:そうですね。お客様の声で、ちょっと困ったことがあった時に問合せ先がこれは勤怠のベンダーなのか、これは社労士に相談すべきことなのか、それともまた別なのか...みたいに戸惑うシーンが結構多いという話があって、そういった意味だと、一社で提供する価値はそこにもあると思っています。
ただ、お客様の業種業態や利用用途によっては、マネーフォワード クラウドではないソフトの方が最適なこともあるので、決して囲い込みではなく、ユーザー視点で柔軟に選べるよう幅広いラインナップを用意しています、というところが最大のメッセージではありますね。
山田:人事労務の方が、まずシステムに関して相談する先がマネーフォワード クラウドであったりしてくれると、それはそれで嬉しいですよね。仮にうちが提供できないソリューションだったとしても、マネーフォワードに相談が来て、そこから他社サービスをご紹介する、といったケースとかも今後増えていくといいのかもしれないですね。
福原:そうですね。本部の名称を決めるときに、「HRプロダクト本部」にしようかという案もあったのですが、製品だけで課題を解決するのではなく、公認メンバーである社労士の方々や給与計算代行のBPO系の会社のご紹介でソリューションを提供できるようなセクションになろう!という意味で「HRソリューション本部」という名称にした背景があります。
山田:なるほどなるほど。増山さんは開発として本部の名称に対するこだわりはありませんでしたか?
増山:プロダクトを作っているので、「HRプロダクト」を入れたいという思いはすごくあったんですけど、最近はBPO含めて僕らが提供できる価値はプロダクトだけじゃなくなってきているなと思ったので、言われた時に「確かにそれもありだな」ってすごい腹落ちしましたね。
山田:先日、パソナさんとの協業についてプレスリリースを出しましたが、今以上にBPO領域をカバーしていきたいという狙いがあってのことかと思います。ここについて詳細を教えていただけますか?
福原:自社で給与計算をやりたいけれど、リソースがないというユーザーが結構いらっしゃって、いつかは内製したいが今は外注せざるを得ない、というような声を良く聞きます。
マネーフォワード クラウドではパソナさんだけではなく、複数の委託先をご紹介できますし、そのBPOの会社でもマネーフォワードクラウドを使ってくださっているので、自社サービスを通して面白い世界観を作れているという実感があります。
山田:クラウドサービスとBPOは、オンプレミスと比べると相性が良いのではないかと思うのですが、そのあたりいかがですか?
増山:そうですね。士業の方に直接依頼していたパターンだと、クラウドサービスを活用することで情報のやりとりがメールや口頭ではなくクラウド上で完結しますし、各社のサービス間連携が強いところもクラウドサービスの良いところだと思うので、ハブになれるという意味でBPOというソリューションとの相性は良いのではないかと思います。
山田:給与計算BPOの実務を考えると、入り口の従業員の情報をどうやって会社からもらっていくか、というところが大きな課題となっているし、それはBPOする側も依頼する側もペインが大きい部分なので、その辺りは「マネーフォワード クラウド人事管理」と「マネーフォワード クラウド給与」を組み合わせて使うことで、これまでにないBPOの世界観を描ける可能性があると思います。
「Connected HR」構想の今後の展望
山田:HRソリューションの包括的な提供を可能にするサービスが一通り揃ってきた中で、数年前に発表した「Connected HR」にあるような他社サービスとの連携の今後についてはいかがですか?
増山:ユーザーごとに多様なオペレーションがあり、それぞれニーズが違うので、基本的には我々のプロダクトだけで全ての課題が解決できるとは考えておらず、他社のいろいろなサービスの特色を組み合わせいけるようにしたい、というのが「Connected HR」の構想になります。
今後の展望で言うと、どんなソフトでも組織や従業員情報は共通で流れていくものだと思うので、今回リリースした「マネーフォワード クラウド人事管理」が他社サービスとの間に入るハブみたいな形になって行けると、より日本全体のHRの未来が見えてくると思っています。
今は、各サービスベンダーが独自の人事マスター機能を作ろうとされていると思うのですが、基盤となるデータを溜める仕組みはマネーフォワード クラウドが提供するので、各社それを利用してそれぞれの課題に特化したプロダクトを作ってください!というメッセージをより強く発信して行きたいと考えています。
山田:どういう領域のサービスと連携していきたいか、展望はありますか?
増山:マネーフォワード クラウドでも提供していますが、勤怠管理や給与計算、社会保険事務、年末調整などは前提として、経費精算や会計領域との相性も良いので、多様な組み合わせが可能だと思っています。
山田:「マネーフォワード クラウドERP」でも経理財務領域を展開していますが、連携に関してユーザーからのニーズは多いですか?
福原:ものすごくニーズは多いですね。特に「マネーフォワード クラウド経費」との連携ニーズが多いです。
増山:経理財務領域との融合は絶対必要だろうと思っています。HR領域内での課題だけでなく、その外側にどういう課題があるかの解像度をもっと高めて、人事管理を中心とした効率化やオペレーションの組み方を提案していきたいという思いはあります。
山田:従業員情報や組織情報の更新のタイミングはHR領域外にも影響のある課題だと思います。経費精算だと、月初の1営業日目から新しい組織でワークフローを出したいというニーズはあると思っていて、現状そこはどうしても遅れてしまっているというのが経理財務側から見ているとありますね。
増山:そこの反映スピードみたいなところですよね。
山田:「マネーフォワード クラウド人事管理」はHRやバックオフィスだけじゃなく、企業で使われるほとんどのサービスの土台となるプロダクトとしての位置付けになっていくのかもしれないですね。
マネーフォワード クラウドのHRサービス群が目指す未来
山田:ここからは少し視線を未来に向けてお話しできたらと思います。マネーフォワード クラウドのHRのサービス群はバックオフィス向けにこれまで展開してきましたけど、今後HR領域でやりたいことを聞かせてもらいたいです。
増山:若干妄想も含みますが、「マネーフォワード クラウド人事管理」は色んな企業が使うサービスの情報が集約される拠点になっていくので、その情報を使ってこれまでにない価値を提供する新規事業を考えていきたいと思ってます。
あとは、マネーフォワードが家計簿アプリ(Money Forward ME)から始まった会社なので、そこと融合できる方法はないかなってずっと考えています。
例えば、「従業員」と「会社に応募する応募者」の立場は個人という観点ではイコールなので、そこをうまく繋いでいけると世の中の人材流動性に寄与できるプロダクトになるんじゃないかなと。
福原:そうですね。人材の流動性を一定量担保しつつも、コロナでリモートになるとその組織で働く意味のようなものが薄れる傾向にある中、経営サイドとしては自社で長く働いて欲しいじゃないですか。
なので、「人」とちゃんと向き合うためのソリューションを提供していきたいと思っています。組織で働くべき理由、その人のコンディションも含めて、うちが持っているデータとか他社のデータとか組み合わせて、その人の力が最大限発揮できるようなプラットフォームになっていくのがいいのでは、と思っています。
増山:効率化って文脈だけじゃなくて、その会社を従業員が選ぶ理由を作るための武器を提供してあげたいですね。
山田:最近、新卒の方の面接をしていても、9割9分、カルチャーとかMVVに共感できるかどうかで企業を選んでます!っていう若い方がほとんどですよね。
これからの時代、そこをどう強化していけるのかが企業として生き残れるかどうかに直結するのだろうなと思っていて、その辺りのマネーフォワードにおける成功体験や失敗体験をノウハウやプロダクトに落としていけたら面白いかもしれないですね。
福原:カルチャーが企業を下支えするのが明確になってきた中で、じゃあカルチャーが浸透するために何をすればいいのか?とか、カルチャーって何?といった言語化の部分がまだ世の中に浸透していない気がするので、そこをVPoCの金井さんと一緒に紐解いていきたいなと思ってます。
増山:BtoBのSaaSって定量的な何かを解決していくものがほとんどだと思うので、カルチャーのように定性的なものをどうリンクさせていくかはチャレンジしがいのある領域ですよね。
福原:そうですね。そういう思いがあって、HRソリューション本部でもカルチャープロジェクトを走らせたりしてます。
山田:カルチャープロジェクト面白そうですよね。その辺の組織の話も触れておけたらと思うのですが、どういう狙いでどんなことやられているんですか?
福原:人も増え、リモートワークも続いているので、HRソリューション本部としてカルチャーの浸透をしっかりやっていこうよ!みたいな感じで始めました。
いろいろアンケート取っていくと、まだまだ本部内の心理的安全性が低いということがわかり、それが情報の流動性の欠如や分断の原因にも繋がっていたので、心理的安全性が高ければ、発言もしやすいし相談もしやすいし、全体が解決するかもしれない!ということでそこを上げにいく企画に取り組んでいる感じですね。
山田:成長しているチームなので、組織課題が日々現れる時期だと思うんですけど、それらを解決していく過程でノウハウを溜めて、将来ユーザーに還元するようなことができていくのはすごい良い未来ですよね。
山田:先日も「マネーフォワード クラウド確定申告」と家計簿アプリ「Money Forward ME」の連携を発表し機能をローンチして、ユーザーからの喜びの声もたくさん届きましたし、社内でもあの取り組み良かった!と言ってくれる方が多かったと思うので、HR領域でも具体化していきたいのですが、直近でやりたいことありますか?
増山:足元で言うと、給与明細を「Money Forward ME」で見れるようにするところはやりたいと思っています。
山田:今は手取りしかわからないので、保険料をいくら払っているのかといった詳細がわかるだけでも価値はありますよね。
増山:はい。まずはそこからスタートかなと思ってます。
福原:転職しちゃうと過去の内訳が見れなくなりますからね。
増山:源泉徴収票もそうだ。取っておくっていうあの作業がつらいですよね。。
山田:ちょっとずつ年収も上がっていってる人多いかと思うので、昔を振り返れるのはニーズがありそう!
増山:それを家計簿アプリが褒めてくれたりすると嬉しいですよね。
福原:去年よりどれくらい増加みたいな(笑
山田:この前、ある企業の方が「会社としてはもっと払っているので、手取りじゃなく額面ベースでちゃんと見せてあげたい」という話をされていて、本当にそうだよなーと思いました。家計簿アプリでも額面で見られるようになるとモチベーション上がるかもしれないですよね。
福原:今後やりたいことだと、電子マネーでの前払いもありますね。
山田:ちょうど今ニュースになって来ていますし、解禁される方向で話が進められてますよね。
福原:個人的には、経費精算したものの一部が電子マネーで返って来たりしたら便利だな、と思いますね。
山田:あとは、日雇いのアルバイトなどで即日報酬を受け取りたい場合に、受け渡しの手間がなくなるのは良さそうですよね。
ユーザーの皆さんへのメッセージ
山田:それでは、最後にユーザーの皆さんにメッセージをお願いします。
増山:ずっと人事管理をやりたいと思ってきて、ようやくその課題を解決できるプロダクトを出せるワクワク感が少しでもユーザーの皆さんに伝わると良いなと思っていますし、導入することでHR領域のバックオフィス業務は格段に良くなるので、ぜひ使っていただきたいです。
採用に関しては、HRに限らず幅広く事業展開を進めているこのタイミングでジョインした人にしか見えない景色とか味わえない経験というのが絶対あると思うので、「今がオススメですよ!」って強く言いたい(笑
福原:最終的に、プロダクトは機能競争によってコモディティ化していく未来が待っている中で、マネーフォワードは複数の事業の柱があって、それをクロスさせた世界を描けるのは確かに今しかないですよね。
そこに可能性を感じてくださる方がいれば、ぜひ一緒に働きたいですね。
山田:そうですよね。コロナ下で転職に踏み切るのもなかなか難しいって思いますが、リモートでの研修や育成も安定してきたので、将来に還元できるようなHRを一緒に盛り上げていくメンバーと一緒に仕事していけると良いですよね。