回収から提出までを一気通貫に! マネーフォワード クラウド年末調整リリースの背景と解決する課題たち
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回収から提出までを一気通貫に! マネーフォワード クラウド年末調整リリースの背景と解決する課題たち

マネーフォワード クラウドのモノづくりのリアルを、CSOの山田一也がその中心人物たちとの対談で解き明かしていく。

「CRAFT WORKS」マガジン、今回は、2021年8月31日にリリースとなった新サービス「マネーフォワード クラウド年末調整」の開発の舞台裏についてじっくり語ってもらいました!

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左:山田 一也(やまだ かずや)
株式会社マネーフォワード 執行役員
Money Forward Business Company CSO
左中:有働 卓真(うどう たくま)
株式会社マネーフォワード
Money Forward Business Company
HRソリューション本部
Product Development部 MakeItTogetherグループ
右中:間瀬 剛延(ませ よしのぶ)
株式会社マネーフォワード
Money Forward Business Company
HRソリューション本部
Product Development部 MakeItTogetherグループ
右:miu(みう)
Money Forward Viet Nam Co, Ltd
Business Department
Development Section
Tax Adjustment Team

山田:それぞれ簡単にどんな役割分担だったのかをご紹介いただけるといいかなと思います。有働さんからお願いしていいですか。

有働:はい。基本的には、私と間瀬さんはほぼ同じような役割なんですが、ベトナムチームで開発するものを一緒に考える感じで、序盤はデザインのレビューに入ったりしながら、どういうものを作るかとか、どういう仕様にするかという提案をしていました。

そこから徐々に制度的な部分のテストを作ったり、テストを実行するところに役割が移行して行きました。

山田:間瀬さんはその中でも特にどんなところに時間を使われましたか?

間瀬:僕はコードの知見があまりないので、どちらかというとUXやUI辺りのところを見ていました。

開発部に異動したのが今年の5月で、それまではカスタマーサクセスに在籍していたので、ユーザーがどの辺でつまずくかみたいなところを軸に関わっていました。

山田:なるほど。miuさんはどんな感じの役割分担でしたか?

miu:私は主に、次に何の機能を作るのかなどについて、ビジネスチームの皆さんと一緒に話し合ったりしていました。

他には、各機能に対してのデザインをどうしていくかや、UXについて考えた上で、それを開発チームに説明して、正しく開発出来ているかどうかを毎日レビューしながら改善していく仕事をしていました。

山田:miuさんは開発側の全般を見ていて、有働さんと間瀬さんの方で、仕様面やテクニカルな面のカバーをするような体制で進められていたということですね。

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山田:年末調整という業務にどういう課題があって、それを解決するためにどんなプロダクトを作ったのかというのをご紹介いただけますか?

有働:年末調整は、世の中的にまだまだ大変さが残っている業務です。どこが大変かというと、まず、年末調整に関わる制度の変更がとても多かったり、制度自体が非常に複雑なこともあり、それを毎年担当者がキャッチアップしながら、実務をしていく必要があります。

そのため、システムを利用しないでそれらをやりきるのは正直厳しいというくらい複雑なものになってきています。

また、システムを導入しても、従業員から申告内容を収集する部分については多くの企業で紙の運用が残っていたり、オンラインで収集していても、計算のところは利用しているサービスが分かれていたりして、従業員からの申告内容の収集や転記、確認の効率化が課題となっている背景があります。

山田:たしかに、紙で提出している企業がまだ多く残っている上に、年々入力する紙の内容も難しくなってますよね。

有働:そうですね。

山田:紙の枚数が増えたり、何かが分離して二つになったり、だいぶ学習コストが高いな、、と書いてる側としても思います。

あと、収集したデータを転記するところは、本当に仰った通りだなと思います。年末調整の計算って給与計算ソフト側に寄っていることが多いと思うんですけど、一方で収集は収集で独立しているサービスが最近流行っていると思うので、上手くここを繋げるか、という課題感は残っていますよね。

有働:そうですね。あと、背景としてもう一つ付け加えると、電子申告、電子提出の義務化の範囲が去年から拡大されたこともあって、源泉徴収票や法定調書、給与支払報告書といった書類を電子で提出する流れがどんどん加速していきます。

マネーフォワード クラウド年末調整は、従業員から収集し、計算して、提出するまでを一気通貫でカバーできているのが最大の強みです。他にはなかなかないプロダクトになったと思っています。

山田:もともとマネーフォワード クラウドシリーズでは、マネーフォワードクラウド給与の中に年末調整機能があったんですよね。

有働:そうですね。

山田:収集から計算、提出までを一気通貫できるサービスへと、より年末調整にフォーカスして作っていく流れから、クラウド給与から年末調整機能を切り出す今回のリリースに繋がった、という感じですかね?

有働:そうですね。それに加えて、クラウド給与の中に年末調整機能が含まれている状態だと、クラウド給与で給与計算をしていないと使えないという課題がありますが、クラウド給与から切り出すことで、他社のインストール型の給与計算ソフトを使っていても、クラウド年末調整を利用することで、オンラインでの収集から提出までの年末調整業務が可能になる、という背景もあります。

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山田:給与計算はさておき、年末調整だけは何とかしたい!というお客さんってやっぱり世の中に多くいらっしゃるものなのでしょうか?

間瀬:そうですね。年末調整業務はどうしても残業が多くなりますし、労務担当としては夏の社会保険の算定年度更新と冬の年末調整が2大ペイン、みたいなところがあって、「とりあえず工数を減らしたい!」というニーズは多いと思っています。

山田:マネーフォワード クラウド年末調整は、比較的大きい規模の会社にも使っていただける、という話を聞いてますが、従業員が増えると年末調整のペインも増えていくものですか?

間瀬:人が増えると、年齢層の幅が広がるのでその影響は大きいと思っています。特に年末調整は保険料とか住宅ローンに関わるところも多いので。

年齢が高い人ほど保険に入っているケースも多いですし、住宅をお持ちの方も多いので、やはり規模に比例して工数も上がって大変になってくる傾向はあると思います。

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山田:クラウド給与にあった年末調整の機能にはどんな課題があって、今回、クラウド年末調整ではどういうバージョンアップや改善を行ったのか、ぜひ伺えたらと思います。

間瀬:機能単位でお伝えすると、「差し戻し」をパーツや項目単位で選んで実行できるようになったことと、来年分のみの扶養控除等申告書を回収できるようになったことの、大きく二つです。

山田:差し戻し機能の改善は非常に良いですね!一発でOKが出ることってあまりなくて、僕も何度か差し戻された記憶があります。

間瀬:去年までは、差し戻しだとアンケート全体の差し戻ししか行えませんでした。しかし、今年は「差し戻しの部分はここです」とピンポイントで言えるようになりました。

これはシステムならではの機能だと思います。紙だと付箋を使って、「ここです」って返さなきゃいけないところを、システムを使用することで、ピンポイントで差し戻し箇所を選んですぐ差し戻しできるという点で、かなり便利になったと思います。

山田:自分も差し戻されたとき、訂正箇所を探して訂正印を押したりするのが面倒くさいから、もう1回全部書き直してましたね。

もう一つの、来年分のみの扶養控除申告書の回収についても教えてください。

間瀬:来年分のみの扶養控除申告書の回収は、多分実務をされている方にはかなり嬉しい機能だと思います。

年末調整って、する必要がある人としなくていい人に分かれていて、しなくていい人も「今年」の年末調整はやらなくて良いけど、「来年分の情報」を回収しないといけない、という制度になっています。

去年まではその差分に対応していなくて、今年年末調整しない人は来年分の情報も回収できないという仕組みだったのですが、今回の改善で、今年しない人についても情報を回収できるようになりました。

このステータスができたことで、一度年末調整の対象として来年の情報を回収したあとに対象外にする、というような二度手間から解放されるユーザーが多いのではないかと思います。

山田:来年分の情報を回収するのは、来年の給与計算に影響してる部分があるからでしょうか?

間瀬:そうですね。来年分の源泉徴収、毎月の給与から天引きする所得税額に影響するからですね。

山田:そういうところ素晴らしいですね!足元の年末調整のことだけじゃなく、我々が給与計算システムも提供しているからこそ、ちゃんと来年の給与計算のことを考慮した設計になっていて、マネーフォワード クラウドらしい、業務に寄り添うサービスづくりが出来ていると思います。

間瀬:年末調整だけじゃなく、一気通貫で、付随するその他の業務の給与計算も、ちゃんとケアできる機能をこれからも実装し続けていきたいと思っています。

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山田:日本とベトナムの共同開発体制で、大変だった部分はありますか?

miu:プロダクトや制度の理解とタイムマネジメントが大変でした。

開発チームの中の数名は、すでにクラウド給与の年末調整機能の開発をしていたメンバーもいて、そのメンバーたちは年末調整について知識があったので助かりました。

開発の進め方としては、最初はすぐ開発に着手せず、周辺部分について設計していったのですが、ひとつ課題を解決すると、また次の課題が生まれる、という感じだったので、チームでスプリントごとに対応していきました。

有働さんと間瀬さんにレビューしてもらった仕様書を、スプリント前に開発チームに渡して、それを受けとった開発チームは定例とは別のミーティングを1時間セットして、その機能の制度的な面を理解しながら進みました。

タイムマネジメントについては、最初の3ヶ月が経過したときに、このままいくと本当に間に合わない。。と気づいて、開発チームのリーダーやディレクターと相談して、次の2ヶ月は土曜日も開発に充てながら頑張りました。

その2ヶ月が経過した時点で、年末調整のアンケートの部分の開発は終わり、次に帳票の開発をスタートしました。

帳票の内容についての理解を深めるために、クラウド給与の年末調整の帳票を確認しながら、分からない部分は聞きつつ、開発を進めました。

それでもタイムマネジメントについては認識のズレなども発生したので、随時、スケジュールについてのミーティングを行いながら解決していきました。

山田:スケジュール管理は本当に難しいですよね。

他のプロダクトだったらリリースを遅らせることも可能ですが、年末調整は年に1回の特定の時期にしかない性質のものだから、リリースへのプレッシャーやスケジュールのマネジメントは苦労が絶えないというか、難しかっただろうなと思います。

でも、結果、予定通りリリース出来て、素晴らしいプロジェクトだったなと思いますね。

山田:有働さんから見て、どんなところが大変でしたか?

有働:やはりスケジュールのところはすごく大変で、遅らせられないけど、いつ終わるのか見え切ってない、みたいな時期が結構長い間あって、本当にこれ間に合うのか、、みたいな不安感があったり、開発順の組み換えを随時したりと、そこは大変でした。

あとは、年末調整というすごく複雑な制度について、miuさんがしっかり読み込んで理解して伝えてくれてはいるんだけど、国の制度にはこう記されているけれど、実務的にはこうやっている、といった資料に反映しきれていない部分があって。。

そこについては、僕や間瀬さんから随時伝えていくしかない状態でした。そういう時は、既に作った部分に対して変更をお願いすることになるので、作ったものを作り直すことが開発チームの士気を下げないか、結構気にしていました。

制度の難しさというそもそもの部分と、世の中的にはこうしてる、という慣習の部分のバランスみたいなところですかね。それを加味して物を作るというのがやっぱり難しいなと思いました。

山田:to Bサービスって、本当にそういうところがありますよね。実務的にこうしている、みたいなマジックワードがあるから、そこに対してただ妥協していってしまうと、どうしても実務にハマらない、使いづらいものになってしまうので、そこを妥協せずに調整していくのはとても根気がいる作業だったと思うし、本当に素晴らしいなと思いました。

あとは、計算のロジックがあるサービスなので、その品質をどう向上していくかも大きなテーマだったと思うのですが、この点についてはどういう取り組みをされましたか?

有働:テストの全体設計はQAチームがしっかりやってくれました。しかし、その中でも制度やシステムの仕様がわかっていないと、そもそもとしてテストを作れない、といった部分があるので、そこは僕と間瀬さんで頑張ってテストケースをたくさん作ってチェックする、というのをやりました。

山田:どれぐらいのケースを作ったんですか?数十とかじゃなくて1000に近いレベル?

有働:1000はやったと思います。あとは、昨年制度の改正があったので、クラウド給与で年末調整機能を更新したのですが、その記録を生かして、今年は、不具合が出ると致命的な部分のチェックを先にやっておこうということで、開発のかなり序盤に、去年のテストケースは全部チェックしておく、というのをやりました。そこがひとつ、工夫だったかな思います。

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山田:マネーフォワード クラウド年末調整は比較的規模の大きい、1000名を超えるような企業からもニーズがありそうで、実際に引き合いも来てると思うのですが、システムパフォーマンスへの対策はどのように考えられたのでしょうか?

有働:目標値を5000名に置いて、処理が重そうな部分はタイムアウトしないようバックグラウンド処理するなど、開発初期からパフォーマンスを意識しながら進めていきました。

山田:マネーフォワード クラウドは中小企業のお客様が多かったのですが、ここ数年で中堅以上、エンタープライズ規模のお客様もすごく増えていて、マネーフォワード クラウド年末調整も中堅以上の規模の会社で使っていただけるプロダクトだと思うのでとても楽しみですね。

最後に、今のマネーフォワード クラウド年末調整が何点ぐらいで、未来を見据えてそれを100点にしていくためにどういう利便性を追加していきたいかを教えてください。

間瀬:リリースのベンチマークが、クラウド給与の年末調整機能で出来ていたことをまずはしっかりできるように、というのと、プラスアルファで電子申告を行えることでしたが、それが実現できたので現時点の到達レベルとしては60点かなと思っています。

これからどういうところを目指していきたいかというと、マネーフォワード クラウド年末調整と他社ソフトを連携して、一気通貫で回収から提出まで実現できること自体が斬新だと思うので、新しい業務フローの設計や提案も含めて、ユーザーに最大限メリットを感じていただけるように製販一体で考えながら機能を追加していきたいと思っています。それが実現していけば、100点に近づいていくと思います。

山田:ありがとうございます。年末調整の実務自体が大きく変わっていく未来が本当に楽しみだなと思いました。

Work illustrations by Storyset

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