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ユーザーストーリーが主役!マネーフォワード クラウド契約リリースまでの軌跡

マネーフォワード クラウドのモノづくりのリアルを、CSOの山田一也がその中心人物たちとの対談で解き明かしていく。

「CRAFT WORKS」マガジン、第二回目の対談は、2021年5月にリリースとなった新サービス「マネーフォワード クラウド契約」の開発の舞台裏についてじっくり語ってもらいました!

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右:山田 一也(やまだ かずや)
株式会社マネーフォワード 執行役員
Money Forward Business Company CSO
中:富田 湧平(とみた ゆうへい)
株式会社マネーフォワード
Money Forward Business Company
新規事業開発部
左:小俣 克行(こまた かつゆき)
株式会社マネーフォワード 
Money Forward Business Company
新規事業開発部

リリース直後から問合せが殺到した期待の新サービス

山田:まずはリリースお疲れさまでした!2人とも初めてのプロダクトリリースだったと思うんですけど、まずは小俣さんから感想をいただけますか?

小俣:これまでシステムを作ってもらう経験は多少あったのですが、ストーリーベースやユーザーベースでは考えていなくて、「これあったらいいよね!」っていう仕様を決めきった形で開発依頼することが多かったんですよね。

今回、マネーフォワードで初めてユーザー中心の開発を経験したのですが、とても新鮮で、正しいものを作っていると強く感じましたし、それが一番楽しかったところでした。

山田:富田さんはどうでしたか?

富田:ちょうど一年前、去年の6月から小俣さんと二人で作り始めて、あっという間に過ぎ去った一年だったなというのが正直なところです。

途中からデザイナーの兵庫さんに入っていただいて、プロダクトの見た目が出来上がってきて、「すごい!」と思っていたところにベトナムのAldoさんが入ってくれたことで開発が一気に進みました。

そして、年明けたくらいにセールスの方が入ってきてくれて、どんどんチームも大きくなり、最終的にはワンチームで生み出したプロダクトが世の中に出ていくゼロイチのフェーズをいろんな角度から観させてもらってたので、充実した一年だったなと思っています。

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山田:ありがたいことに、リリースした直後から問い合わせがたくさん来ていて。初日に4、50件くらいでしたっけ?そこからサービス説明のアポイントもどんどん決まっているのですが、実感湧いてきましたか?

小俣:そうですね。実際に商談にも一緒に入らせていただいて、そこでお客様の声を聞いてみることで、「あ、ここの機能はお客様に合っていたな」とか、「ここはまだ機能足りないな」といったことが具体的に見えてきています。

まだ機能が足りていないところについては、今後の開発予定のお話をすると「あ、それだったらいいね!」って納得していただけるので、しっかりユーザーのことを考えて開発していれば共感していただきながらセールスできるんだ!というのを知りました。

山田:反応いいですよね。

小俣:すでに先陣の他社さんが市場を作ってくれていたのも大きいとは思いますが、社会的にリモートワークやDXへのニーズが高まっている状況であることも大きいなと思います。

山田:そうですね。プロジェクトがキックオフしてから約一年、開発に着手してからは半年ぐらいでリリース出来た、そのスピード感も大きかったですね。

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自信を持ちすぎず半信半疑で進めた開発フェーズ

山田:開発チームが組成されて、「いざ作るぞ!」ってなってから、契約業務の知識や解像度を上げる過程は実際にやってみてどうでしたか?

富田:正直なところ、全く分からないところからだったので、小俣さんと一緒にユーザーインタビューに行かせていただくところからスタートしました。

例えば、紙の契約書がどんなふうに締結されているのか?とか、稟議ってそもそも何?とか、稟議が紙で申請されている世界があるということも全然知らなかったので。。

自社の稟議申請はクラウドサービスを使っていて、全部インターネットの世界で完結する世界だったので、こういう世界があるんだっていうことを体感できました。

あとは紙契約書の製本の作業ですね。実際に自分の家で作ってみたりもしたのですが、「こんなに工数のかかる作業があるんだ!」ということを身を持って知りました。

山田:そうだよね(笑)ユーザーインタビュー、何件くらいしましたっけ?

小俣:自社も含めると12社くらいですね。企画の段階からいろいろ聞かせていただきました。

山田:最初のモックの段階も、結構作っては壊しみたいな感じでやってましたよね。そのフェーズでだいたいどれくらいかかりましたっけ?

小俣:3ヶ月くらいですね。

山田:当時、結構焦ってましたよね(笑)いつまで経っても形が見えてこないみたいな感じがありましたよね。

富田:変更がある度に、デザイナーの兵庫さんに何回も作り直してもらいました。

山田:ある程度モックが固まってきたのってどれくらいでしたっけ

富田:9月くらいですね。そこでようやく開発着手する内容が固まった感じでした。

山田:当時の自信度としてはどれくらいだったんですか?作り切ればユーザーに絶対受け入れられる自信があったのか、それともまだ半信半疑な部分があったのか。

小俣:半信半疑な部分はものすごくありました。

山田:富田さんは?

富田:同じくですね。契約締結の機能だけではなく、契約業務の一連の流れをまるっと機能提供するところに新規性があったので、ほんとに両方使ってもらえるか?っていうところが半信半疑でした。

山田:半信半疑で疑っている気持ちってものづくりで大事なところだと思っていて、ユーザーがどう考えているかは想像の域を出ない部分があるから、自信を持ちすぎずに半信半疑で開発フェーズを進められたのはすごくよかったと思うし、二人ともユーザーの意見を素直にしっかり受け止められていたのは、ものづくりの進め方としては最高だったと思います。

小俣:富田さんと兵庫さんがユーザーの目線でたくさん意見をくれたので、それにはすごく助けられました。

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山田:今回、日本とベトナムでの共同開発だったということで、プロダクトオーナーの小俣さんが日本にいて、エンジニアリングマネージャーの富田さんはベトナムにいるっていう状況でしたが、難しさだったりとか、思ったよりもうまくいったこととかありますか?

小俣:日本で商習慣として古くから浸透しているハンコの文化をどうベトナムの皆さんに理解してもらって、どういうユーザーの問題を解決するかを理解してもらうか結構悩んで、資料を作ったりとかしましたね。

ハンコが生まれた倭奴国の時代から資料作ってみたりして、これはさすがに要らないかとか、いろいろ迷走しちゃった部分もありました(笑)

日本のハンコ文化を伝えて、それが何を意味しているのか、ベトナムの制度に置き換えるとどういうものなのかをまず理解してもらって、だからこのプロダクトが必要なんだ!っていうのを理解してもらうことに注力しました。

富田:今回、自分がベトナムに渡るタイミングで、小俣さんが契約チームのメンバー全員のニックネームが入った印鑑を作って持たせてくれたんです!それをみんなでペタペタやりました。

その中でメンバーが、「ハンコってみんな日本人はどういう時に作ってるの?」とか、「どういう意味や効力を持つの?」とか聞いてくれて理解を深められたのが印象的です。

契約業務において、海外にはサインの文化があるので、業務の流れ自体については開発メンバーからも理解しやすかったのではと思います。

山田:ちなみに朱肉ってベトナムに売ってるんですか?

富田:あー、、売ってないですね

山田:それも持ってたんだ(笑)

富田:持って行きました(笑)

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クラウド契約 開発チームのスピード感を支えたもの

山田:クラウド契約の開発チームはすごくスピード感があって、今後の機能開発の拡張もとても期待できるチームだなと思っているのですが、そのスピードの源泉ってどこにあるんでしょうか?

小俣:私が一番今回すごいと思ったのは、富田さんが解析してちゃんとお伝えしてくれたのは前提にありつつ、ベトナムのAldoさんに9月の段階で一連の流れと開発したいものを伝えて開発完了目処を聞いた時に、彼は「2月」って答えたんですね。

で、実際にそのとき提示した要件の開発が終わったのが2月だったんですよ!

その後、連携系や社内向け管理画面の追加要件が入ってきて、最終的に5月10日のリリースにはなりましたが、最初に出したモックの開発だけでいうと、2月ジャストで合わせることができていて。そんな体験初めてだったので、なんてすごい読みと実行力なんだろう!って思いました。

富田:毎スプリントごとに、そのスプリントで取り組む開発のストーリーをみんなで確認した上で、「必要な要件ってなんなんだ?」っていうところを落とし込む時間を2週間に1回、2時間〜3時間くらい作りました。

そこから、システムに落としていく上で必要なことを厳密に詰めていくという過程を経たことで、結果、ほぼ手戻りすることがなかったのが開発スピードが上がった一番大きな要因かなと思います。

山田:スクラムがすごくうまく回っていたイメージがありました。ユーザーストーリーの書き方がすごく丁寧だったからですかね?

小俣:クラウド固定資産のプロダクトオーナーをされている廣原さんの真似をしたっていうところではあるんですが(笑)いろいろ皆さんに教えていただきながら書きました。

あとはもちろん富田さんにも手直ししていただきながらやっているので高い精度のものが出来ているのだと思います。

山田:これだけ丁寧に書けるっていうのは、小俣さん自身がしっかりユーザーの業務を理解されていたっていうところが大きいと思うので、そういう形で物づくりをしていけば、自然とユーザーの期待に応えられるプロダクトになっていきますよね。

今日はこの場にいらっしゃらないですが、デザイナーの兵庫さんとのコミュニケーションもすごく丁寧にやっていて、すごくいいチームだなって見てて思ってたんですけど、デザイナーさんとのやり取りはどうでしたか?

小俣:会話が全てストーリーベースでできるので、POからデザイン、エンジニアまで統一されたストーリーをみんなが描けていたのが大きかったと思います。

山田:ワークフローから電子契約に繋げて、管理まで進めていくっていうストーリーをチームのみんながちゃんと意識していて、その軸がブレずに終始進んでいったなっていう風に見えていて、すごく良かったんじゃないかなと思いました。

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クラウド契約で解決したい課題と実現したい未来

山田:優先順位とか技術的な話は忘れて、今後どういった機能を開発していきたいですか?

小俣:契約の入り口の課題感をすごく強く感じているので、最初の反社チェックのところの機能ですね。

山田:反社チェックは定形的な業務だけどすごく大事だし、手間もかかってるので、あのあたりを自動化できると夢が広がりますよね。富田さんの開発したいポイントはどこらへんですか?

富田:この一年、プロダクトを作りながらインタビューを重ねる中で見えてきた点として、契約の管理までスムースに効率よくできているケースは少ない、という課題感があります。

やはりそこには手間がかかるし、管理を徹底したとしてもそこに対してのメリットが薄いのでなかなか取り組めていない現状があるのだと思います。

そういった企業がクラウド契約を使うことで契約管理が滑らかに行われて、更なるメリットを得られる。だからクラウド契約を使ったほうが良いよね、という世界にしていきたいなと思っています。

山田:そうですね、その辺りは特に期待されている部分だと思うので楽しみですね。逆に、今提供できている機能で一番の推しポイントはどこですか?

小俣:推しポイントはワークフローのカスタマイズ性かなと思ってます。個人的には、今回実装したワークフローの機能を使えば、構築できないワークフローはないのではと思っています。

富田:僕がお気に入りの機能は、稟議を通して申請者の方が残した情報をその契約のデータとしてそのまま紐つけて管理できるようになるところです。

今までだと、契約に関する情報を別途入力して管理しないといけなかったのが、稟議を通して入力した情報をそのまま使って契約情報管理に繋げられる流れがすごくいいなと思っています。

山田:なるほどね。私はすごいニッチなんだけど、Google driveの使用感で書類ごとに閲覧権限を追加で付与できるところが実務に根付いていて好きな機能ですね。

小俣:閲覧権限いい機能ですよね!

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ユーザーを見て全員で議論できるチームでありたい

山田:チームっていう観点もサービスを作っていく上でとても重要だと思うんですが、ビジネスと開発一体のチームとして、大切にしていきたいところとか、目指していきたいチーム像はありますか?

小俣:私は、ユーザーがどういう行動をしていて、ユーザーのどういう問題点を解決するのかを、ユーザーのストーリーに基づいて全員で議論できればいいのかなと思っています。

富田:僕は全体が同じベクトルを向いてるチームでありたいと思っています。

具体的な最近いいなと思ったのは、開発側は「この機能がもっと便利だったらユーザーは使ってくれるだろう」という仮説で作り始める部分があるんですけど、ビジネスサイドから「実はユーザーはこんな使い方をしていて、この機能を頻度高く使っているユーザーはより長く使ってくれる」というような情報を共有してもらえると、開発としてもその機能の重要性への気付きや確信に繋がってくると思うので、そういう風にチームで一緒に高め合いながら作っていけたらいいなと思います。

山田:それぞれが自分の仕事の範囲を決めずに、どんどんクロスオーバーして、セールスとかサクセスの人が開発チームと積極的にコミュニケーション取ったり、開発チームがマーケティングのアイディアを色々考えたりとか、役割をみんなで楽しそうにシェア出来ているところが私から見ててすごくいいなと思いますし強みだと思います。

そういった環境で働きたい方はぜひクラウド契約チームに!
たくさん採用しないといけないので(笑)

小俣:そうですね、ぜひ一緒に!