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ナレッジラボは、3rdステージへ!

本日、株式会社マネーフォワードは、2025年1月1日付で株式会社ナレッジラボ(以下、ナレラボ)を100%グループ会社化することを発表しました。

2018年7月にマネーフォワードグループにグループジョインしたナレラボは、これまでマネーフォワードが61%の株式を保有するグループ会社として、経営管理プラットフォーム『Manageboard』とバックオフィス向けの業務デザインコンサルティングサービスを展開してきました。

今回のnoteでは、マネーフォワード 取締役CFO兼CSOの金坂さんがインタビュアーとなり、ナレラボCEOの国見さん、ナレラボCOOの門出さん、そしてマネーフォワード 取締役 マネーフォワードビジネスカンパニーCOOの竹田さんに、今回の発表の経緯や思いについて、聞いていきます。

・国見 英嗣(写真中央右)ナレッジラボ 代表取締役CEO
・門出 祐介(写真中央左)ナレッジラボ 取締役COO
・金坂 直哉(写真右)マネーフォワード 取締役 グループ執行役員 CFO兼CSO
・竹田 正信(写真左)マネーフォワード 取締役 グループ執行役員 マネーフォワードビジネスカンパニーCOO

100%グループ会社化決定の背景

金坂:早速ですが、今回、100%グループ会社化の意思決定をした背景について教えてください。

国見:去年創業10周年を迎えたナレラボは、これまで5年ごとに事業のフェーズが変わっていて、去年の社員総会では「次の5年をどう作っていくかが今期のテーマです」とメンバーに話をしていたんです。

そして今年からのナレラボ3rdステージをどうするか、さらに大きな成長のために何ができるかを考える中で、辻さん(マネーフォワード 代表取締役社長 CEO)、金坂さん、竹田さん、山田さん(マネーフォワード グループ執行役員 マネーフォワードビジネスカンパニーCSO)ともディスカッションを繰り返し、今回の100%グループ化のイメージがどんどん明確になってきたという経緯です。

金坂:マネーフォワード(以下、マネフォ)としては、ローンチから1年10ヶ月で立ち上げてきた『マネーフォワード クラウド連結会計』を活かしながら、経営管理システム領域でよりお客様に価値提供をしていくための検討を始めていました。その際、もちろんグループの一員であるナレラボの力も最大限にお借りしたいと思い、お声がけしました。

国見:僕たちもいろいろと検討を進めていましたが、今日、こうして一緒に発表することができて、とても嬉しく思っています。

ナレッジラボ 代表取締役CEO 国見 英嗣

ナレラボのこれまでの歩み

金坂:改めて、ナレラボ創業からの10年を教えてもらえますか?

国見:ナレラボ起業前、M&Aの支援に携わる中で、大企業のM&Aでは経営企画が重要な役割を果たす一方で、中小企業のほとんどのM&Aでは社長一人が頑張っている状況を目の当たりにしていました。そこで、大企業では重要な業務である経営企画の役割を、中小企業に提供してみたいと思ったのが創業のきっかけでした。

<ナレラボ1stステージ>
創業〜マネフォとの出会い〜『Manageboard』リリース〜グループジョイン決定

国見:2013年にナレラボを創業し、事業再生コンサルティングをはじめ、経営管理の支援をさせていただいたクライアントがV字回復していくのを見る中で、大きなやりがいを感じていました。しかし、同じような課題を抱えている企業は何万社もあるのではないかと思うようになり、「サービスを1社ごと提供するのではなく、何万社にも使ってもらえる仕組みができたらいいな」と考え始めたんです。創業から2年ほど経った頃、ふと周りを見渡すと、マネフォなどから「クラウド会計ソフト」なるものが登場していました。

竹田:ちょうど、2013年の年末に『MFクラウド会計・確定申告(現『マネーフォワード クラウド会計・確定申告』)』をリリースしたあとですね。

金坂:その頃から、税理士法人も併設されていたんですよね。

国見:そうですね。創業当初からマネフォの大阪営業担当の方がうちの事務所に来てクラウド会計ソフトを紹介してくれまして、マネフォとはその頃からのお付き合いです。

それで「クラウド会計めっちゃいいな」と思って、事業再生コンサルティングの中でマネーフォワード クラウド会計を使ったり、一緒にセミナーを開催したりしていました。

同時に、僕らの提供サービスもクラウドでできないかと思案し始め、まずは外部の開発会社さんに依頼しようとしたんです。ただ、なかなか管理会計におけるクラウドツールという概念を理解していただけず、結局「自分たちで作ろう」と決意しました。それが2016年の後半くらいのことです。

金坂:そこから、2018年の『Manageboard』のリリースにつながるんですね。

国見:2017年から古田さん(現ナレッジラボ取締役CPO)と僕で会議室にこもって約一年かけて開発し、2018年1月にクラウド予算管理ツール『Manageboard』としてローンチしました。

金坂:リリース当初はどんな感じで活動されていたんですか?

国見:まずはつながりのある会計事務所さん20くらいにトライアルで使っていただいて、マネフォの営業の方にも「こんなんできましたよ」ってお見せしました。

金坂:そのときは、まさかその後グループジョインすることになるなんて、思ってなかったですよね?

マネーフォワード 取締役 グループ執行役員 CFO兼CSO 金坂 直哉

国見:もちろんです、まさかですよね。ただ、リリース後1ヶ月くらいのタイミングで、山田さんと、当時M&Aを担当をされていた菅藤さん(当時マネーフォワード執行役員CSO)に対してデモをすることになった日は、ちょっと身構えましたね(笑)。

竹田:当時、菅藤さんと私は、2017年11月にマネフォのグループジョイン第一号としてクラビスからマネフォに仲間入りした直後でした。菅藤さんはもともとクラビスで会計事務所向けに展開していた自動記帳サービス『STREAMED』を立ち上げた張本人でもあるので、『Manageboard』に対して純粋に興味があったんだと思います。

国見:竹田さんも、別のタイミングで来てくれましたよね?

竹田:そうですね、すごく懇意にしてくださっている会計事務所さんということで、マネフォの事業本部長としてご挨拶に行かせてもらいました。とにかく、めちゃくちゃ感じの良い方々だったという印象です。

マネーフォワード 取締役 グループ執行役員 マネーフォワードビジネスカンパニーCOO 竹田 正信

国見:いや、あの頃は『Manageboard』の開発資金の調達に向けて、VC(ベンチャーキャピタル)さんともお話ししていたり、いろんな可能性がある時期だったんで「とりあえず腰低くしとかないと」と思ってまして(笑)。

金坂:僕も別のタイミングで大阪の事務所に行かせていただきまして、最終的には夕方から協議を始めて、会食含めてずっと議論して24時くらいに「この方向で行きましょう!」と、グループジョインが決定した記憶です。

国見:そうですね、その日の会話が決定打となり、2018年7月にナレッジラボはマネーフォワードにグループジョインしました。

2018年グループジョイン発表時の記者発表

<ナレラボ2ndステージ>
『Manageboard』作り替え〜事業内容の軌道修正

金坂:ここまで国見さんにお話いただいた、マネフォにジョインするまでが1stステージだったということですが、門出さんはちょうど2ndステージが始まる頃に入社されたんですよね。

門出:はい、採用面接のプロセスの中で、「マネフォへのグループジョイン決定」というニュースを聞きました。マネフォ代表の辻さんとも最終面談でお会いして、ナレラボへの入社を決めました。

金坂:入社してみてどうでしたか?

門出:最初の1年は本当に大変でしたね。面接では『Manageboard』をリリースし、マネフォへのグループジョインもしてこれから事業拡大していくぞというキラキラした話を聞いていたんですが・・・。実態としては、リリースしたばかりの『Manageboard』はまだマネタイズできる状態ではなく、日本全国に出張して「なにかお手伝いできることないですか?」と、とりあえず自分で営業してコンサルする、ということをやっていました。

ナレッジラボ 取締役COO 門出 祐介

金坂『Manageboard』に関わり始めたのはいつ頃ですか?

門出:2019年の後半あたりです『Manageboard』の当初の想定としては、会計事務所に使っていただいて、その顧問先の中小企業が経営数字を見れるようにしましょうということだったんですが、使っていただく中で課題もいくつか見えてきました。
そこで、大きな経営判断として、会計事務所経由だけでなく直接一般企業にも提供でき、しかも中小企業だけでなく中堅企業でも使える機能を搭載したサービスを新たに『Manageboard2.0』として『Manageboard』を基盤から作り替える決定をしました。

国見:そして2021年1月に、一般事業者様向けの予算管理システムとして『Manageboard2.0』をローンチしました。

竹田:その頃はちょうどコロナ禍でしたよね。

門出:そうなんです。『Manageboard2.0』のリリースにはこぎつけたものの、もう一方のコンサル事業もなかなか厳しい状況で。
というのもコロナ前、多くの案件に対応できるコンサルタントが不足していたため、大阪でも東京でも人を採用していたんです。ところが緊急事態宣言で対面でのコンサルティングができなくなりました。

国見:正直、あの頃は事業も組織も安定しておらず『Manageboard』を2.0に作り変えるということは、会計事務所向け『Manageboard』も開発を止めるということでしたし、コロナ禍でコンサルもまともに進められない。多くの人が辞めていくし、もはや組織崩壊といってもいいところまで追い詰められました。

竹田:2021年、経営合宿で会った幹部のみなさんも研修で一緒になったメンバーも、一様に悩んでいた印象でしたね。

金坂:でも、僕の印象では、2021年が底の状態だとすると、この数年はそこから一気に成長してきた感じがあります。

国見:そうですね。スクラップアンドビルドというのか、新しく種をまいたものがやっと実ってきました。2022年には、祖業の事業再生コンサルティング事業を閉じるという判断もしました。

門出:それも大きな判断でしたね。そこから、『Manageboard』と業務デザインコンサルティングに専念するようになりました。

金坂:さまざまな葛藤や経営判断がありながらも、最終的な数字としては右肩上がりでの成長を継続されてきたのは、本当にナレラボのみなさんの日々の積み重ねの結果だと思っています。

100%グループ会社化選択への思い

金坂:改めて、今回の100%グループジョイン決定の背景にあった経営としての判断を教えてください。

国見:Manegeboardをリリースした2018年頃、予算管理SaaSは特に大きなマーケットではありませんでした。ところが今、予算管理・経営管理のマーケットは数百億規模になり、さらに成長が見込まれている。そんな外部環境の中で、ナレラボのスタンスの軸として据えたいポイントは2つあるよねと、門出さんと話してたんですよね。

1つが、受け身になりたくないということ。大きく動く世の中の流れに乗っかるのではなくて、自分たちで流れを作る側になっていくということ。
そして2つ目が、地の利を生かすということ。これがまさにマネーフォワードグループとしての強みをどう生かすかという点でした。

マーケットが大きく動く今、受け身ではなく攻めの姿勢で、これまでとは違う関わり方でマネフォグループの一員としての動きに思い切り振り切ったら、絶対勝てると思えたのが判断の背景です。

金坂:攻めの姿勢というところを、もう少し具体的に教えていただけますか?

国見:僕たちは2018年にグループジョインを決めましたが、実は明確なタイミングを決めずとも将来的にはIPOを目指す前提で、マネーフォワードが61%の株式を保有する形で事業を進めてきました。
それから6年経ちますが、IPOの可能性を残した一方で、もしかしたらそれが原因でマネフォグループの一員であるというメリットを最大限に活かせなかった側面もあったのかもしれないと感じていました。

門出:そうですね、IPOを目指す上ではある程度の独立性が必要になります。するとグループに過度に依存するのは良くないという判断も増えてくる。たとえば、人員強化の面ではマネフォのリソースに頼るのではなく自前で採用や教育を進めた方がよいとか、マーケティングの面でもマネフォのユーザー基盤に頼るのではなく自分たちの力でなんとかしようとか。

国見:そうなんですよね。グループ全体のシナジーという観点では、もっと多くの面で連携を深めることができたのかもしれない。
だから今回、マネフォ経営陣とのディスカッションを繰り返す中で「経営管理システム領域でともに戦いたい」という方向性を見出し、これからは100%グループ会社としてやっていこうという選択に迷いはありませんでした。逆に、これでアクセル全開でやっていけるなという、ワクワクのほうが気持ちとしては大きいですね。

マネフォとナレラボのこれから

金坂:竹田さんの視点で、ナレラボへのこれからの期待はありますか?

竹田:ナレラボのみなさんの知見だったり器を思いっきり借りて、さらに大きな未来を一緒に作っていきたいですね。

経営管理や業務デザインコンサルティング領域では、ナレラボさんは先行してやられてきた知見があります。また、国見さんや門出さんをはじめとしたみなさんの経営者としての強さや能力をより近くで発揮いただけることも非常に心強く感じています。 

これまでは、お互いの方向性を尊重しないといけないという気持ちが一部あって、必要以上の深入りはしない関係性でもありました。これからはそういう遠慮も取っ払って、本当に同じ未来に向けて同じ船で行けることを、めちゃくちゃ楽しみに感じています。

金坂:国見さんは、これからに対する楽しみと不安のバランスはどんな感じですか?

国見:うーん、不安はほとんどないですね。逆に今までのほうが、アクセルを全力で踏めないというモヤモヤ感がありましたが、それもなくなりましたし。

これまでの6年間、グループの一員としてやらせてもらって、東京でも大阪でも同じオフィスで仕事をして、経営層からメンバー層までお互いのカルチャーをわかっているというのは大きいですね。
もちろん、マネーフォワードクラウド経営管理コンサルティング(※)という新しい事業体としてどう進めていくんだろうとか、新しい取り組みに関してまだまだ検討していかないといけないことはたくさんあるので、関わるみなさんで知恵を出し合っていく必要がありますが、それも含めて楽しみです。

(※)マネーフォワードグループのBusinessドメインにおいて、経営管理領域におけるソフトウェアの設計・販売及び経営管理に関するコンサルティングサービスの提供、並びに、これらの事業を行う会社を統括する中間持株会社として運営していく目的を持つ、マネーフォワードの完全子会社。

門出:ちなみに、金坂さんからみた僕らへの期待はどうですか?

金坂:個人的な思いでいうと、僕はCFOもやっていますが、予算管理SaaSの領域はかなり成長ポテンシャルのある領域だとずっと思っています。数字の世界ですし、クラウド会計もここまで普及してきて、生成AIも広がってくるので、ユーザーへの提供価値は間違いなく大きくなるはずです。

2018年にグループジョインのお声がけをした時も、「日本中の中小企業の経営インフラを変えていく」というミッションにものすごく共感したところから始まっていますし、同じ思いでこれまでも地方出張などもご一緒してきました。また、マネフォとして『Manageboard』を長年使ってきているからこその愛着もあります。

ですので、今回こういうかたちで、より深く一緒に事業を進めていけることが楽しみで仕方ないです。

国見:ありがとうございます。

ナレラボでは、10年の節目でミッションを「成長するビジネスを圧倒的に増やす」に刷新しました。

ナレラボの3rdステージとしても新たな一歩を進めるとともに、マネフォのみなさんと一緒に、さらに新しい未来を作っていければと思います。

今回の発表について、ナレラボ国見さんのnoteも公開されています。
是非あわせてご覧ください!